2010/08/17

第二の人生に影を落とす!?肺の生活習慣病COPD

世界禁煙デー(5月31日)をきっかけに、禁煙を決意したGさん(41歳)。タバコの値上がりもさることながら、慢性閉塞肺疾患(COPD)を患う68歳の父親が「タバコをやめないと、定年後の楽しみが半減するぞ」とため息をついたからだ──。

 COPDは肺の慢性的な炎症が本態の病気。長いあいだに気道や酸素交換を行う肺胞が破壊され、咳や喀痰、階段を上ると息切れを起こすなどの症状が出る。特に息を吐き出すことが難しくなる。口をすぼめて呼吸をすると楽になるので、階段の途中でフーフー息をついていたら要注意。進行すると肺ガン並みのたちの悪さを発揮し、酸素吸入が必要なほど重症化すると5年生存率は50%に満たない。

 いちばんの原因はなんといっても喫煙。別名「タバコ病」「肺の生活習慣病」と呼ばれるゆえんだ。もちろん喫煙者すべてがCOPDになるわけではないが、今のところ何が明暗を分けるかは解明されていない。自分がはたしてどちらに入るのか、人生初めての1本に火をつけた時点で賭けに出ているようなものだ。2008年の患者調査によると国内の患者数は約22万人。あくまで病院で診断された数値であり、累積喫煙者数を考えると、未受診の潜在患者は、これを大きく上回ると考えられる。

 COPDは病気の進行が遅く、初期症状が風邪や喘息と区別しにくい。病気を自覚するのは、加齢の影響で症状が強く現れ始める60代以降。これから悠々自適の生活という矢先に、突如として息切れと咳に行動を制限されてしまうのだ。ゴルフや旅行どころか、散歩もままならず、ストレスからうつ病を併発するケースも多い。定年まで一生懸命に働いた結果がこれではなんともやりきれない話だ。

 つらい結末を避けるには早めの禁煙しかない。喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が400を超えると、COPDに限らず、肺ガン、咽頭ガンのリスクがぐっと上昇する。30~40代の喫煙者はただちに禁煙するべきだ。すでに喫煙指数が400をオーバーしている人は言うまでもない。

 また40歳以上で喫煙歴がある、あるいは長年、受動喫煙者であった人は定期的にスパイロ検査を受けること。息を吐き出す力を計測する検査で、同年代の健康な肺と比較した「肺年齢」もわかる。深く息を吸い込んだ後、できるだけ早く息を吐き出した最初の1秒間に、努力性肺活量の70%以上を吐き切ることができれば正常、70%未満はCOPDが疑われる。

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