2013/01/22

「家族みんなで満足できる、新生活にぴったりの春モデル」 - ドコモ加藤社長が2013年新モデルをアピール


NTTドコモは1月22日、2013年春モデルの新製品を発表。スマートフォン9機種、タブレット2機種、モバイル無線LANルーター1機種の計12機種を発売する。同時に、スマートフォン向けのコンテンツを家庭のテレビなどで利用できるようにする「ドコモ スマートホーム」の取り組みを開始することを明らかにした。ドコモの加藤薫社長は「家族みんなで満足できる、新生活にぴったりの春モデル」と強調。スマートホームの提供とあわせて、「スマートフォンのその先にある、新しい世界を広げていく」としている。
春モデルを発表したドコモ
加藤薫社長
発表会には、女優の堀北真希さんと俳優の渡辺謙さんも出席した

高精細、高速通信、高速処理の3つを備えた春モデル

今春モデルの特徴は3つ、と加藤社長は説明する。1つ目が「高精細」で、4機種のスマートフォンで5インチフルHD液晶、1機種のタブレットで10.1インチフルHD液晶を搭載。au(KDDI)からは同じ5インチフルHDの「HTC J butterfly」が出ているが、ドコモとしては初のフルHDスマートフォンとなる。
新製品は冬モデルからわずかに減って12機種
3つの特徴を備えた端末を「超高速フルHDスマートフォン」とアピール
写真では分かりづらいが、HDよりもさらに高精細なフルHDディスプレイ
2つ目が「高速通信」で、LTEサービス「Xi(クロッシィ)」の高速化を図る。現在は大部分のエリアが下り最大36.5Mbps(一部で75Mbps)だが、下り最大112.5Mbpsのエリアを拡大する。
112.5Mbps対応端末は、スマートフォンの「Ascend D2 HW-03E」とモバイル無線LANルーター「HW-02E」の2モデル。このほか、「スマートフォン for ジュニア SH-05E」をのぞくスマートフォン・タブレットはすべて下り最大100Mbps対応のモデルとなる。
112.5Mbps対応端末は2機種となるが、ほとんどの機種が100Mbpsに対応
112.5Mbps対応エリアは、北海道、東北、信越、北陸、中国、四国、沖縄の一部都市で利用可能だが、その都市数を拡大する
下り112.5Mbpsのエリアは、今年3月までに全国22都市に、6月までに50都市以上にするとしている。まだ一部エリアの75Mbpsエリアも、基地局数を3月までに4,000局に、6月までに1万局まで増やし、Xiの高速化を「一気に拡大する」(加藤社長)考えだ。
既存の36.5Mbpsのエリアも75Mbps対応に拡大、基地局数を増加させる
3つ目が「高速処理」で、8機種のスマートフォン、1機種のタブレットでクアッドコアプロセッサを採用。8機種のスマートフォン、2機種のタブレットでOSとしてAndroid 4.1をするなど、高速な動作を目指した。
加藤社長は、「スマートフォンを選ぶ際に重要視される画面の美しさ、通信速度、処理能力。これを高いレベルで融合したのが春モデル」と自信を見せる。そのほか、7機種のスマートフォンで2,000mAh以上のバッテリを搭載して駆動時間も長時間化。NFC対応機種6機種、NOTTV対応機種6機種も用意する。加藤社長は「お好みにあわせて選べるように、新生活にぴったりの機種をそろえた」と強調し、「新生活を彩る最高のパートナーに進化したスマホを、自信を持ってお届けする」とアピールする。
大容量バッテリ、NFC、NOTTV搭載端末も拡大

「いち押し」Xperia Zを始め、バラエティに富んだ端末ラインナップ

春モデルの「いち押し」として加藤社長が強くアピールしたのが「Xperia Z SO-02E」。同時発表の「Xperia Tablet Z SO-03E」も「同じ世界観でデザイン」(加藤社長)し、外観やUIなど、共通性のあるデザインを採用した。
共通の世界観を構築するXperia ZとXperia Tablet Z
薄型フラットボディなど、独特のデザインを採用
5インチフルHD液晶、世界初搭載の撮像素子「Exmor RS for mobile」によるHDRムービーや暗部の高画質化などを実現。クアッドコアプロセッサや2,330mAhのバッテリ、NFCなどを搭載する。
Exmor RS for mobile搭載によるカメラの高画質化も特徴
その他の特徴
Xperia Tablet Zは、Xperia Zよりも薄い世界最薄6.9mmという厚さを実現し、国内の同クラスの端末としては最軽量となる495gを達成している(ともにソニーモバイルコミュニケーションズ調べ、1月21日時点) 。フルHD液晶を搭載したほか、Xperia Zで表示している画像をXperia Tablet Zで表示するスマートフォン連携機能を搭載。micro USBケーブル経由でスマートフォンを充電する機能も備えている。バッテリ容量は6,000mAh。
Xperia Zより薄いタブレット
Xperia Zとの連携や充電機能を搭載
ほかの5インチフルHD液晶搭載機種として、「ELUGA X P-02E」を提供。こちらは、持ちやすい狭額縁のディスプレイを搭載し、パナソニックのHDDレコーダーやスマート家電と連携する機能を搭載する。
「ARROWS X F-02E」は指紋センサーを搭載し、高セキュリティ、1.7GHzという高速クアッドコアプロセッサを搭載。「Optimus G Pro L-04E」は、1.7GHzクアッドコアプロセッサ、春モデルのスマートフォンで最大級の3,000mAhバッテリを搭載する。
高精細、高速通信、高速処理の特徴を備えた3モデル
112.5Mbps対応端末となる「Ascend D2」は、4.7インチHD液晶を搭載。濡れた手でも操作しやすい「水滴クリアタッチパネル」を採用した。
公称では国内最速を実現した2機種
「AQUOS PHONE EX SH-04E」は、正面下部がイルミネーションで光るデザインに加え、資生堂の協力で化粧をシミュレーションできるアプリをプリインストールした女性向けモデル。「MEDIAS X N-04E」は、画面のブルーライトを30%カットし、目の疲れを抑える独特の機能を搭載した。
女性向けのAQUOS PHONE EX、ブルーライトカットを備えたMEDIAS X

そして「常識を打ち破る」(加藤社長)と紹介されたのが「MEDIAS W N-05E」。4.3インチ540×960(QHD)の2枚の液晶を搭載した製品で、折りたたむと正面と背面に液晶が配置される構造で、開くと2画面を使って5.6インチの大画面として利用できる。画面を分割し、片方で動画像を表示しつつ、Webサイトの閲覧やTwitterなどのSNSを利用する、といった使い方もできる。好きなアプリをそれぞれの画面に表示することはできないが、「これまでにない使い方を提案」(同)する端末で、加藤社長は「チャレンジングなモデル」とアピールする。
2画面を搭載したスマートフォンMEDIAS W
2つの液晶で大画面スマートフォンとしても使える
折りたたむと細身のスマートフォン
背面液晶はオフになる
画面下全体をキーボードにして文字入力もできる
縦にしたところ
2画面での動画再生
片側だけで動画再生することも、同時に同じ動画を両面で再生することもできる
アプリは限定されるが、画面ごとに別のアプリを表示することも可能
なお、すでに発表済みのスマートフォン for ジュニアも春モデルとして位置づけられている
春モデル12機種は、各地のスマートフォンラウンジで先行展示する

テレビやタブレットでドコモサービスを利用できるスマートホーム

ドコモはこれまで、スマートフォン向けのコンテンツサービスとして、「dマーケット」で「dビデオ」「dアニメストア」などを提供しているが、基本的には携帯回線を搭載したスマートフォンやタブレット向けだった。こうしたコンテンツを家庭の機器で利用できるようにしたのが新サービス「ドコモ スマートホーム」。同サービスの一環として提供するのが、10.1インチHD液晶を搭載したタブレット「dtab」だ。携帯回線がない無線LAN搭載モデルだが、dマーケットのサービスを利用できるようにしている。
スマートフォンのコンテンツを家庭で、家庭のコンテンツをスマートフォンで、それぞれ楽しめるようにする「ドコモ スマートホーム」
dtabとdstickでスマートホームを実現する
dtabは10.1インチの無線LAN対応タブレット
スマートフォン契約があれば、同じdocomo IDで利用可能

dマーケットを利用するにはドコモスマートフォンを契約し、docomo IDを取得する必要があり、IDとパスワードを入力することで、無線LAN端末のdtabでもdマーケットが利用できるようになる。ただし、端末のUA(ユーザーエージェント)を見ており、dtab以外の端末からのアクセスは弾くようになっているそうだ。加藤社長は、今後PC対応なども検討するとしている。
dマーケットを利用しやすいようなUIを採用している
家庭での利用シーン
dtabは、Android 4.1を搭載したWi-Fiタブレット。dマーケットの利用を前提として、コンテンツにアクセスしやすいようなUIを採用しているが、UIを独自設計しているだけで、Google PlayやそこからダウンロードしたAndroidアプリは通常通り利用でき、ホーム画面をカスタマイズすれば通常のAndroidタブレットとしても利用できる。
最大の特徴はその価格で、9月末まではキャンペーン価格として、1万円を切る9,975円を実現。スマートフォンでドコモの回線とspモードの契約があり、dtab購入時に「dビデオ」を6カ月間以上利用するユーザーであればキャンペーン価格が適用される。キャンペーン対象外の価格は25,725円。dマーケットを利用せず、タブレットとして購入することも可能だ。
1万円を切る価格を実現
dビデオなどのサービスをすでに利用しているユーザーであれば、追加料金なしで、低価格でタブレットが購入することができる。
テレビに接続して利用する
もう1つが「dstick」で、これはAndroidを搭載したスティック型の端末。家庭のテレビのUSB端子とHDMI端子に接続することで、自宅のテレビにdマーケットのコンテンツを表示することができる。専用のスマートフォンアプリが提供され、こちらを利用することで、Bluetooth経由でリモコン操作することも可能だ。
利用シーン
プレゼントキャンペーン
提供されるのはdビデオ、dアニメストア、dヒッツの3つ。家庭の大画面テレビで、映画やアニメ、音楽を楽しむことができる。今後、バージョンアップで対応サービスを拡大することも可能だという。それぞれのサービス利用者は、追加料金なしで利用することができる。
2月1日から5月31日まではキャンペーンとして、dビデオ、dアニメストア、dヒッツのいずれかを利用中のユーザー合計7万人にdstickをプレゼントし、利用者の拡大を図りたい考え。
なお、無線LAN対応タブレットやdstickでは、家庭内に固定回線+無線LAN環境が推奨されるため、固定回線向けの無線LANルーターを無償でレンタルするサービスを提供する。加藤社長は、この施策によって固定回線の拡大にも貢献することを期待する。
無線LANルーターを無償提供
3つ目が、ドコモの関連会社であるパケットビデオが提供するアプリ「Twonky Beam」の機能を拡充する。Twonky Beamは、HDDレコーダーなどに録画したテレビ番組をスマートフォンやタブレットにストリーミングしたり、スマートフォンで表示した映像や写真をテレビなどに転送して表示することができる。
Twonky BeamがフルHD動画に対応
機能拡充では、新たにフルHD動画のストリーミングに対応。HDDレコーダーに録画したフルHD画質のテレビ映像を、Twonky Beamを使うことでスマートフォンやタブレットで視聴できるようになる。一部の対応端末では、スマートフォンに映像を転送して外出先でも視聴可能。今春モデルでフルHD液晶を搭載したことから、フルHD映像をそのままキレイに楽しめるのがメリットだ。
ひかりTVの豊富なチャンネルがスマートフォンでも視聴できるようになる
Twonky Beamの機能拡充では、公式な対応レコーダーも拡大。シャープ、ソニー、東芝、パナソニック製のレコーダーとドコモの今春モデルでの利用が確認されている。機能拡充後は、アプリのダウンロードは無償。著作権保護コンテンツの転送(DTCP-IP利用)するためには料金が必要になるが、ドコモ端末向けにはこれを無償提供する。
レコーダー対応の拡大にあわせて、ドコモとパケットビデオでは、著作権保護コンテンツを配信するための規格であるDTCP-IPに対する端末の不具合を解消するなど、レコーダーメーカー、端末メーカーとも協力して取り組んだという。
また、NTTグループのNTTぷららが提供する映像配信サービス「ひかりTV」向けに、60チャンネル以上の番組がスマートフォン・タブレットで視聴できるようにする。ひかりTV用STB(セットトップボックス)とTwonky Beamとの組み合わせで実現する。加藤社長は「スマートフォンの楽しさや便利さを家の中に広げる」取り組みだと紹介し、「家族みんながそろって満足できるサービスと商品」と自負を見せる。
「スマートフォンのその先」を目指していく