2013/05/14

TBS番組が韓国経済ボロクソにけなす ネットで「俺たちのTBS!」という賞賛の声も

TBSが韓国経済をボロクソに叩いた、とネットで話題になっている。韓国企業の信頼度は先進26カ国中最下位で、家電も世界を席巻しているとされるが、特許侵害が多く様々な問題を抱えている、といった具合に、韓国経済のありようを、これでもかというようにボロクソに叩いているのが特徴だ。 

TBSはこれまで韓国に好意的な報道が目立ったせいもあり、ネットでは「転向」だとして賞賛の声まで挙がっている。 

「皆が韓国企業に対して『おかしい』と思い始めた」 
2013年1月24日放送のニュース番組「朝ズバッ!」の「けさ単!」のテーマは「円安ウォン高」だった。ここではいつも一つの単語の意味を読み解いている。この日は。井上貴博アナが総合司会のみのもんたさんに韓国経済に対してどんなイメージを持っているか聞いた。みのさんは、勢い付いていて留まる所を知らないし、海外の飛行場やスポーツ競技場の看板を見ても、日本のメーカーは無くなっていて韓国の家電メーカーのものだらけだ、韓国の人達の頑張りは凄い、と絶賛した。 

井上アナは韓国経済の実態を紹介する大きなボードの前に立ち、そう思っている人もいるが、実態は異なっているとして説明を始めた。まず、08年のリーマンショック以降、韓国経済は奇跡のV字回復をしたとされる。確かにGDPは伸びたが、その内訳は76.5%を10大財閥が占める。好調なのは大企業のみで貧富の差が拡大した、と指摘した。利益の多くは輸出でもたらされたが、その輸出自体が危機を迎えているのだという。ウォン高がきき始めたせいもあるが、第一生命経済研究所の西濵徹さんの説明によれば、 

「皆が韓国企業に対して『おかしい』と思い始めた」 
からだという。 

何が「おかしい」のか。番組ではまず現代(ヒュンダイ)自動車の例を出し、「誇大広告を出していたことがアメリカ政府の調査で分かった」と説明した。アメリカで10年から12年にかけ出した広告に記載された燃費の数字が実際よりも高く書かれていたという。また、ヒュンダイのロゴマーク「H」は、日本のホンダとそっくりで、デザインも日本車と似ている。それは、 

「アメリカでは燃費がいいのは日本車という定説があるから」 
であり、韓国企業がよく他国の企業を真似た製品を出しているのには、こうしたことが根底にある、と断じた。 

K-POPも既に賞味期限が切れている 
さらにサムソンは特許侵害など3000以上の訴訟を起こされている。経済評論家の三橋貴明さんのコメントとして、 

「訴訟を起こされても決着まで2年ほどかかるため、特許を侵害したとしても、早く売り切ってしまいたい、というのが韓国のスタイル」 
などと紹介した。 

アメリカの広報会社の調べによれば韓国の企業信頼度は先進26カ国中で最下位になっている。韓国への観光客も激減している。韓国は韓流スターも輸出しているが、 

「紅白歌合戦でK-POPゼロ。賞味期限切れではないか」 
とも語られた。最後に、このままウォン高が続き1ドル1000ウォンを切ると韓国経済には致命傷となる、とした。 

ネットではこうした事実をテレビは報じてこなかったのに、なぜTBSが、と話題になった。ネットではTBSはもともと「反日放送局」だとバッシングされてきただけに、評価する人も多くいて「俺たちのTBS!」「これからはTBSだけ見ることにするわ!」などといった書き込みも出ている。 

TBSHD(ホールディングス)の石原俊爾社長は12年11月に、1980年代までTBSは「民放の雄」と評されていたとし、「TBS社員として、誇りと自身を持って再生への道を歩み始めましょう」 
と書いた手紙を900人以上もの社員送ったとして先ごろ話題になったばかりだ。 

AndroidタブレットとiPad、どっちがいい?

2012年3月の新型iPadの発表は世界中に大きなインパクトを与えた。9.7インチ液晶に薄型軽量なアルミボディーという基本コンセプトはiPad 2を踏襲しながら、iPad 2のなんと4倍にもなる2048×1536ドットもの超高解像度を実現したためだ。
アップルが2012年3月に発売した3代目「iPad」
アップルが2012年3月に発売した3代目「iPad」

「単純に解像度が上がっただけ」という辛口の評価もなくはないが、これだけの高解像度を実際に体験してみると、その衝撃は大きい。それはiPad以外のタブレット、つまりAndroidタブレットを製造するメーカーも同じだったことだろう。

新型iPadの登場は、同じ約10インチサイズの画面を搭載するAndroidタブレットの存在意義を揺るがしているといっても過言ではない。ではiPadがすべてにおいてAndroidタブレットを凌駕しているのか……というと決してそんなことはない。iPadにはiPadのメリット・デメリットがあるように、AndroidタブレットにはAndroidタブレットの魅力が詰まっているのだ。

常に1種類しかないiPadと、選択肢が多いAndroidタブレット

最初に言えることは、Androidタブレットには選択肢が多いということだ。

iPadは魅力的なデバイスなのだが、今のところ最新モデルは常に1機種しか存在していない。例えば「9.7インチじゃなくて7インチクラスのモデルが欲しい」「キーボード付きが欲しい」「テザリング対応モデルが欲しい」……これらの要求に応えてくれるiPadは残念ながらない。

だがAndroidの場合、7インチクラスなら東芝「REGZA TABLET AT3S0」やエイサー「ICONIA TAB A100」などさまざまな機種がある。キーボード付きならアスーステック「Eee Pad TF201」、テザリング対応ならUQ WiMAX「GALAPAGOS EB-A71GJ-B」(シャープ製)やNTTドコモ「MEDIAS TAB N-06D」(NECカシオ製)など数多い。


ゲームなら圧倒的にiPad 無料・有料アプリも充実

本体ハードウエアのバリエーションの豊富さに関してはAndroidの圧勝だが、ゲームに関してはiPadの方が圧倒的に楽しめる。

これはAndroidタブレットの機種数が多すぎて、画面の大きさやCPU・画像処理性能などがバラバラのため、どの機種でも楽しめるゲームを作るのが難しいというのが背景にある。iPadは現在でもまだ3機種しかないため、初代iPadで問題なく動けば処理性能としてもトラブルが生じることはない。要するにゲーム開発会社が安心して開発できる環境がiPadにはあるというわけだ。
ゲームに関してはiPadの方が圧倒的に充実している
ゲームに関してはiPadの方が圧倒的に充実している

ある調査会社の調査によると、Androidユーザーに比べてiPad(iPhoneなども含む)ユーザーの方が有料アプリを多く購入しているという。iPadの方がユーザーの裾野が広く、ゲームなどの有料コンテンツの購入にも慣れているため、今後もその傾向は続くだろう。もちろんAndroid向けのゲームアプリがないわけではないが、3Dグラフィックスなどを用いた本格的なゲームはiPadでしか楽しめないと思っておいた方がいい。


テレビやAV機器をより楽しみたいならAndroidがおすすめ

現状で国産AndroidタブレットがiPadに最も勝っている点として挙げられるのが、デジタルAV機器との連携だ。

例えば東芝「REGZA TABLETシリーズ」の場合、同社のBDレコーダー「REGZAブルーレイシリーズ」と連携する機能を備えている。レコーダーのチューナーを用いてテレビをリアルタイム視聴したり、録画した番組を家の中で楽しめるだけでなく、ダビングして外出先で見ることもできる。ソニーの「Sony Tabletシリーズ」は外出先では見られないものの、同じようにテレビを見たり録画番組を再生するといったことができる。

Androidはバージョン4.0(ICS:Ice Cream Sandwich)へのバージョンアップによって、家庭内AVネットワーク機能「DLNA」が著作権保護規格「DTCP-IP」に対応する。これによってAndroidタブレットは、国内のテレビやレコーダーの多くに搭載されているDLNA機能と同等になる。つまりレコーダーや一部の録画テレビで録画した番組を、同じLAN環境にあるAndroidタブレットで楽しめるようになるというわけだ。これは東芝、ソニー以外のタブレットでもそうである。
iPadはこうした連携機能は今のところなく、サードパーティーアプリでも同様の機能を実現したものはない(DTCP-IPを搭載しないDLNA対応プレーヤーなどはあるが、この場合はレコーダーで録画した番組は再生できない)。

せっかく10インチクラスの大画面タブレットを使うなら、テレビも見たいというのが人情というもの。iPad向けテレビチューナーもあるが、自宅のテレビやレコーダーと連携した使い方をしたいという人は、Androidタブレットを検討してみるのもいいだろう。


周辺機器やアクセサリーの多さはiPadが圧倒!

そのほか、「せっかく大枚はたいて購入するのだから、カバーやケース、周辺機器などで自分だけのタブレットにしたい」という人には、やはりiPadがおすすめだ。

Androidタブレットは機種数が多いため、専用のケースやカバーなどは数えるほどしかない。周辺機器やアクセサリーもiPadの方が圧倒的だ。例えばiPad用のキーボード付きケースなどは数多いが、Androidタブレットの場合は世界的に売れているサムスン電子のGALAXY Tabぐらいしかない。
ただし、先ほども述べたように、iPadは1機種しかないのが最大の弱点だ。「こんな機種が欲しい」「あんな機能が欲しい」という要望に合致した機種があるのなら、それがiPadであろうとAndroidタブレットであろうと、あなたにとって最高の機種であるに違いない。

あなたの夢、かなえます。

メッセージを送る。会議のスケジュールを設定する。電話をかける。Siriを使えば、あなたの声でいろいろなことができるようになります*。いつもと同じ自然な話し方でSiriに話しかけて、したいことを伝えましょう。とても簡単な方法で、驚くほどたくさんのことができるSiri。新しい使い方がどんどん見つかるでしょう。


あなたの言葉と、その言葉の
意味を理解します。

Siriには、人に話しかけるのと同じように話しかけてください。例えば「メッセージを読んで」「タイマーを35分にセットして」という感じで。Siriはとても賢いので、あなたの言葉だけでなく、その意味までも理解します。「週末の京都の天気は?」とSiriに聞くと、「週末の天気です」と言いながら京都の天気予報を表示します。続いて「奈良はどう?」と聞いてみると、Siriはあなたが一つ前に天気について質問したことを覚えているので、すぐに奈良の天気を探し出します。Siriは先を読みながら情報を探すので、お目当てのものが見つかるまであなたに質問します。

あなたが毎日することを手伝います。

Siriは毎日のあれこれをもっと簡単なものにします。その質問にはどのアプリケーションを使えばいいかを自分で判断し、様々な情報源から答えを見つけます。あなたが聴きたい曲を再生し、あなたを起こし、昨晩の試合のスコアもお知らせします。あなたはただ話しかけるだけです。

iOSで音声入力を。

いろいろなことをするための、驚くような方法がもう一つあります。声によるiPhoneの操作です。指先で文字を入力する代わりに、キーボード上にあるマイクアイコンをタップ。入力したいことを言うと、Siriがその内容を聞き取ります。「完了」をタップすると、あなたの言葉がテキストに変換されます。声でメッセージを書いたり、メモを取ったり、ウェブを検索したり。できることはほかにもたくさん。音声入力は他社製アプリケーションでも使えるので、Facebookでの近況のアップデート、ツイート、Instagramの写真へのコメントの追加や写真の送信も、すべて声で行えます。

アイズフリー。

Appleは、特定の音声コントロールシステムにSiriを組み込むために自動車メーカーと協力し合っています。そのため、近いうちにハンドルについた音声コマンドボタンを使って、道路から目を離すことなくSiriに質問できるようになります。できる限りあなたの注意がそがれないようにするため、iOSデバイスのスクリーンは点灯しません。このアイズフリー機能を使って、電話をかける、音楽を選んで再生する、テキストメッセージを読み上げたり作成する、マップで目的地への行き方を確認する、通知を読む、カレンダーの情報を見つける、リマインダーを追加するなど、様々なことをSiriに頼めます。あらゆる場面であなたのお手伝いをするSiri。ハンドルを握っている間も例外ではありません





ますます面白くなる音声エージェントサービス

iPhoneには「リマインダー」と呼ばれるアプリがプリインストールされているが、このリマインダーにSiriを通じて音声で備忘録を登録することができる。実際の使い方はこんな感じだ。

「チケット購入をリマインド」とSiriに話しかけると、リマインダーへの登録が始まる。Siriが「いつお知らせしましょうか?」と尋ねてくるので、たとえば「今夜9時」という具合に発話すれば、アラームを設定したリマインドが作成される。

 アラーム通知が不要な場合は「~を覚えて」と語尾につければ、アラームなしでリマインダーを設定することもできる。

「トイレットペーパーを覚えておいて」と発話すれば、リマインダーに「トイレットペーパー」が登録される。買い物リストや備忘録として大変重宝する。



 一方、経路検索や飲食店を検索するといったWeb検索を音声エージェントで行うケースでは、色々と工夫された音声エージェント系サービスがサードパーティから多数提供されている。しゃべってコンシェルももちろん優秀ではあるが、検索結果の候補が多い場合などの絞り込みで手間がかかることもある。こうした検索における絞り込みのロジックを工夫したアプリの事例としてiNAGO社の「mia」がある。miaもSiriやしゃべってコンシェルと同様な音声エージェントアプリであるが、検索結果が多かったり、逆に少なかった場合、miaはユーザーとの会話から文脈や状況を判断し、検索結果の絞り込みや範囲拡大を促す追加の質問をしてくることで、より的確にゴールとなる検索結果にたどり着ける(もちろん、必ずしもすべての検索で万全な結果を返してくれるというわけではないのだが)。

 ユーザーの秘書代わりに活躍してくれるこうした音声エージェント系サービスはまだまだ発展途上である。ユーザーが求めていることをいかにアプリが吸い上げて行くか、あるいは検索結果をどのように判断して、ユーザーの求めるものにふさわしい結果を出せるかといったところが今後の進化における差別化のポイントになっていきそうだ。

 先日ソフトバンクモバイルの夏モデル発表会では、SoftBank HealthCareという、リストバンド型活動量計とスマートフォンが連携するサービスがリリースされたが、ユーザーのバイタルデータの収集と活用は今後注目されていくことになるはずだ。こうしたバイタルデータを直ちに音声エージェント系サービスと結びつけるのは容易ではないが、たとえばユーザーの健康状態を踏まえてWeb検索結果の絞り込みまでしてくれるような、おせっかいな音声エージェントサービスが登場してもおかしくはない。たとえば、「近くのレストランを探して」と検索を頼んだ際に、「今日は消費カロリーが少ないようなので、ヘルシーなレストランを提案しますよ」といった問答が展開されるかもしれない。

 また、MTIはiPhone向けに「ココロミルミル」という感情認識アプリを提供している。このアプリを起動して会話を拾うと、話している人の「喜怒哀楽」といった感情を画面に表示してくれる。これは株式会社AGIが開発した「音声から感情を分析できる技術」を応用したもので、話す音声から感情を抽出している。テキスト分析ではなく「音声」そのものからの分析であるので、言語の種類を超えて利用可能だ。たとえば、音声エージェントにこうした感情認識技術が取り入れられたとしたら、「何か音楽を聴きたいんだけど」というような発話の際に、そのユーザーが喜んでいるのか、悲しんでいるのか、怒っているのか、平静なのかを判断することで、より気分に合わせた楽曲の提案が可能になるはず。
 以上、筆者の思いつきで語っている部分が多いが、改めて音声エージェント系サービスを色々と試すようになり、その精度が確実に向上していることを感じるし、またエージェントとして役立たせるための様々な要素技術が取り込まれてきたことも分かった。今後もますます進化を遂げて行くことになるだろう。そうしてスマートフォンは着実に、ユーザーの秘書代わりに活躍してくれるツールになっていくはずだ。

2013/05/12

アナリスト曰く、今年のGoogle I/Oにおける目玉はハイレゾNexus 7。Android OS搭載のノートPCも登場間近?!

Googleの開発者向けイベントであるI/Oカンファレンスは、いよいよ来週サンフランシスコで開催される。新しいハードウェアが発表されるのは間違いないとみられている。これまでにもさまざまな予想を的中させてきたKGI SecuritiesのMingchi Kuoは(via 9to5Google)、今回の目玉のひとつがNexus 7タブレットのアップデートであると予測している。7インチディスプレイ上で解像度が1920 x 1200となり、500万画素のカメラを搭載して、外見を少々変更するという話だ。価格は現行版と同じ199ドルだろうとのこと。

Asus製タブレットは新しいQualcomm Snapdragon 800プロセッサーを搭載して、「narrow bezel」化し、ピクセル密度は323(iPhone 5とほぼ同じ)で、物理的なサイズはAppleのiPad miniと同等ないし、一層小さなものとなる。これが真実であれば、ハンドヘルドタイプで、レティナクオリティの画面を搭載して、価格はAppleの329ドルからという価格設定を大幅に下回ることになる。

さらにKuoによればNexus 4で採用されたワイヤレス充電の機能も搭載されそうだ。GoogleはQi方式無線充電方式を採用しており、いろいろと普及した充電器が利用できる。Nexus 7も当然この方式を踏襲するだろうとのことだ。

ちなみにKuoはI/Oカンファレンス以降のことについても言及している。たとえば、3、4ヵ月のうちにおそらくSamsungからAndroidベースのノートパソコンが出てくるだろうという件についても触れている。これについてはIntelのエグゼクティブも先月9to5Googleにて触れていた。Kuo曰くAndroidの時期ビッグリリースとなるバージョン5の発表時期の問題から、Android版ノートがI/Oでリリースされることはないだろうと述べている。

読者の中には、Androidベースのノートパソコンという話になると、少々困惑してしまう人もいるかもしれない。Googleはすでにデスクトップ系にもChrome OSの適用範囲を広げようとしている。そしてChrome OSはタブレットにも搭載されると噂されている。Androidベースのノートを企画しながら、Chrome OSの利用範囲を広げていこうとするのは矛盾した振る舞いに見えるかもしれない。ただこれは、長い目でみてリスクヘッジを行なっているということにもなるのだろう。Googleはこれまでにも、種々の可能性を考慮して多様な方向性を維持して、最終的に廃棄されることになるプロジェクトに投資を行なってきている。

まだ続きがある。KuoによればGoogleは依然としてApple TVに対向するためのGoogle TVの企画を進めているのだとのこと。忘れ去られたNexus Qを高機能にして再出発を果たさせようとしているのかもしれない。またGoogleのウェアラブルコンピューターとして、Glassに続いてGoogle Watch(腕時計)も出てくるのではないかと、Kuoは述べている。但し、これは少なくとも来年初頭まではマスプロダクトとして登場してくることはないだろうとのことだ。

ドコモ、iPhone販売拒む3重の壁…「今年確実」「絶対ない」業界内で割れる見方

携帯電話ユーザのドコモ離れが止まらない。

NTTドコモが4月26日に発表した2013年3月期連結決算の営業利益は、前期比4%減の8371億円だった。この営業減益要因となったのが、顧客流出を食い止めるための販促費増加だった。

 13年3月期、流出食い止めのため代理店へ支払ったドコモ端末値引き販売補填費やキャンペーン費用などの販促費は、前期比6%増の1兆1617億円という巨額に上った。それでも、キャリア(携帯電話会社)を乗り換えられるMNP(番号持ち運び制度)の年間累計は140万9500件の転出超過(マイナス)と過去最悪。

 ちなみに、競合のKDDIは101万500件、ソフトバンクは41万1200件と、共に転入超過(プラス)で、ドコモの「一人負け」が露わになった。

 その結果、新規契約数から解約数を引いた純増数(12年度累計、電気通信事業者協会統計)ではソフトバンクが66万700件、KDDIが51万1900件、ドコモ41万7400件で、累計純増数でもドコモの負けっぷりが際立っている。

 今やドコモは、KDDIとソフトバンクの草刈り場の様相を呈していると言っても過言ではない。

●ドコモをさらに追い込むKDDI

 ドコモの惨憺たる状況について、業界関係者は、「市場で人気の高い米アップルのスマホ『iPhone』販売にKDDIもソフトバンクも参入しているのに、ドコモは参入しておらず、ユーザが寄り付かない。逃げるのは当然」と解説する。

 そんな弱り目のドコモを、さらに追い込むかのような動きを見せているのがKDDIだ。

 同社は現在、iPhoneを最新機種へ買い替える場合の旧機種下取りを行うために、古物商の許可申請を各都道府県で進めており、au販売代理店も同社の指示で同様の準備をしているといわれている。

 この下取りサービス開始を予定しているのが、今年夏の新機種「iPhone 5S」発売日ともいわれている。下取りの目的は言うまでもなく、ドコモ駆逐だ。「ドコモユーザが、KDDIのiPhoneを買いやすくするための誘導策だ」とKDDI関係者は明かす。

 KDDIがiPhone販売に参入したのは11年9月。それまでは、08年から国内でiPhoneの独占販売状態だったソフトバンクへのユーザ流出が続き、ドコモと共に「スマホの草刈り場」と化していた。だがiPhone販売開始でユーザ流出が止まり、今度はドコモユーザがKDDIに流入するようになった。

 その結果、契約純増数は11年10月から今年3月まで18カ月連続でトップを維持している。

 そんな「iPhone神通力」もあり、業界では「ドコモがいつiPhone販売に参入するのか」が目下の話題になっている。参入しないと「ドコモの一人負けが今後も続くのは明らか」(業界関係者)だからだ。

 ところが、この話を追ってゆくと、iPhoneに参入したくても参入できない、ドコモの立ち往生状態が見えてきた。

●iPhoneはドコモが一番乗りのはずだった?

「実は、iPhoneの国内独占販売権はドコモが手にするはずだった」と、NTT元役員は打ち明ける。

 アップルが08年にiPhoneを国内に投入する際、その販売代理契約で競ったのはドコモとソフトバンクだった。当時は技術的にも規模的にもソフトバンクを圧倒していたドコモ本命で交渉が円滑に進んだ。ところが、交渉が詰め段階に入ると、「アップルが突然、法外な要求を突き付けてきたのでドコモは交渉を打ち切り、ソフトバンクが漁夫の利を得る形になった」(同)という。

 その要求の内容とは「独占販売権を与える代わりに、NTTの研究所が保有する携帯電話のすべての特許技術を開示せよという、とうてい呑めない要求だった」(同)というのだ。これが本当だとすれば、ドコモが反発をしたのは当然といえよう。誰が考えても、商品供給と引き換えに、数十年にわたって蓄積してきた特許技術を社外に開示などできるわけがないからだ。

 それはさておき、KDDIがiPhone販売に参入した時点でも、ドコモが追随参入できない事情があった。それは同社の中期経営計画(中計)だった。

 KDDI参入直後の11年11月にドコモが発表した中計では「産業・サービスの融合による新たな価値創造」を掲げている。それに向け映像、電子書籍、クレジットカードなど携帯電話との親和性が高い8分野の事業領域に戦略投資を行い、15年度に11年度比約2.5倍の約1兆円の売上を目指すとしている。

 この壮大な計画は、同社が「ドコモスマホ」のOSに採用している米グーグルのアンドロイド上のアプリを前提にしたものだという。

 従って、携帯電話に搭載するアプリやサービスをきめ細かにアップルが指定するiPhone販売にドコモが参入すると、この中計で掲げている成長戦略が根底から崩れるわけだ。

●「土管化」への危機感

 さらに、同社には通信事業の「土管化」への危機感もある。

 昨年5月に開催された携帯電話・無線通信関連の展示会「ワイヤレスジャパン」で、基調講演の演台に立った山田隆持社長(当時)は「さまざまな機能をネットワークに埋め込んでゆきたい。それによりお客様から見た場合に、あたかも端末単体で処理が完了しているような形にしたい」と、同社の経営ビジョンを語っている。 

 サービスの提供主体をネットワーク側に置くことは、ドコモにとってのメリットが大きい。ドコモが手頃な価格でさまざまな高機能サービスを提供することでネットワークの価値が高まり、ネットワーク自体が収益源になるからだ。

 ところが、iPhoneのように、アプリ・サービス開発がアップル主体で行われ、コンテンツ開発、提供などのプラットホーム事業もアップル主体となると、キャリアは単に通信インフラだけを提供する「土管」と化してしまう。

 このため「社内には土管化を促進するアップルに頼らないビジネスモデルをつくるべきだとの意見が強い。その意見を反映したのが中計であり、土管化を防ぐビジョンを説明したのがワイヤレスジャパンでの山田社長(当時)の発言だった」(ドコモ関係者)という。

 こうした参入できない事情を抱えながらも、ドコモは「iPhone参入を断念したわけではない」(同)というから、話は複雑だ。

●秋波は送れど決断できないドコモ

 ドコモは、iPhone対策の販促費急増で営業利益が減少、背に腹を代えられない状況になっている。

 このため、加藤薫社長は今年2月、メディアの取材に対して「iPhoneは魅力的な端末だ。総販売台数の2~3割なら販売も検討したい」と、にわかにアップルへ秋波を送るような発言をした。

 これに激高したのが「旧電電ファミリー」と呼ばれる国内の携帯電話機メーカー。iPhone販売にドコモが参入するようになれば、アップルと比較し事業規模で劣る国内携帯電話機メーカー勢はたちまち苦境に追い込まれるからだ。

「我々と皆さんは一心同体。これからも共存共栄でと言っていたのは二枚舌だったのか」と、あるメーカー役員は憤慨している。これまで、旧電電公社時代から技術提供などにより携帯電話機メーカーを育ててきた施策が、iPhone参入阻害要因になっているのだ。

 ここまで来ると、もう完全に立ち往生だ。参入しなければユーザのドコモ離れは止まらず、参入しようとすれば、中計、土管化への恐れ、国内携帯電話機メーカーの反発と3重の壁が立ち塞がる。

 同社が今後iPhoneへ参入するかについては、目下のところ業界内の見方は分かれている。

 参入説を取る業界関係者の一人は、「昨年暮れからの加藤社長の発言の端々から見ても、加藤社長が参入の腹を決めたのは明らか。加藤社長の側近が今年に入ってしばしば渡米、アップル幹部と極秘に交渉している節も見られる」と話し、「今年の夏のiPhone 5S発売を機に参入するのはほぼ確実」と推測している。

 参入否定説を取る業界関係者の一人は「ドコモは単なるキャリアではなく国策会社。自分が参入した場合に、自分の育ててきた国内携帯電話機メーカーがどんな悪影響を受けるかを配慮しなければならない立場。だから参入は絶対あり得ない」と断言する。

 いずれにせよ、加藤社長はアップルに「秋波は送れど決断せず」の中途半端な態度で、参入諾否の決定に時間がかかるのは間違いないようだ。その間にも、ユーザの流出はとめどなく続いてゆく。