2012/12/12

ホンダが「アクア」独走に待った


ホンダが、小型自動車向けの新型ハイブリッドエンジン「スポーツ・ハイブリッド・インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ(IDCD)」を発表した。かねて表明していた燃費ナンバーワンハイブリッドカーを実現するエンジンシステムで、2013年以降、全世界に投入される新型フィットなどの小型ハイブリッド車に搭載される。
今回開発したIDCD(=右写真=)は、エンジンとしては、既存の1モーター型ハイブリッドエンジン(排気量1.5リットル級)に比べて30%以上の効率向上を実現した。市販車に搭載するにあたっては、車体の軽量化や空力性能の改善なども合わせ、現行フィット・ハイブリッドに対して、30%を超える燃費向上が見込めるという。
新型フィットのハイブリッド車は、トップセラー車に成長したトヨタのコンパクトハイブリッド車「アクア」を上回る燃費数値になる見通しで、価格帯は現行車とほぼ同等になる。
国内自動車市場では、トヨタがハイブリッド車を牽引力に快走しており、ホンダは再注力中の軽自動車「N BOX」で食らいついているものの、ハイブリッド車では後れをとっている。今回発表したハイブリッドエンジンで、トヨタの独走に何とか「待った」をかけたい考えだ。

従来システムとの違い

ホンダはこれまで既存のエンジン、トランスミッションシステムに、補助動力としてモーターを組み込む形でハイブリッド車を開発してきた。この方法は簡単・低コストでハイブリッド車を実現できるものの、組み込むモーターに制約があるなど、燃費性能の向上には限界があった。これに対して、今回は、1モーターによるハイブリッド専用のシステムとしてエンジンやトランスミッションをオリジナルで開発した。
エンジンとモーターはクラッチを介して接続するシステムとし、加速時や高速走行時にはエンジン+モーターアシストで走行、エンジンが苦手とする発進時や低速走行時には、クラッチを切り離してモーターのみで走行が可能だ。また減速時もエンジンとモーターを切り離して減速エネルギーを効率的に電池に回収できるようにした。減速エネルギーをより多く電池に回収できれば、その分エンジンによる発電が不要になり燃費向上につながる。
既存のホンダのハイブリッドシステムは、エンジンとモーターが直結している。このため、モーター単独走行ができずエンジンが苦手とする低速走行が非効率になっているほか、減速時も減速エネルギーがエンジンブレーキとしてロスするため、電気エネルギーとしての回収効率が悪くなっていた。

モーター単独で3kmの走行が可能

またバッテリーにはリチウムイオン電池を採用、少ない電池重量で効率的な充放電を可能にしている。これによりモーター単独で3キロメートル程度の走行が可能になった。
トランスミッションは、伝達効率を最大限に引き上げるため、7段のデュアル・クラッチを採用した。デュアル・クラッチは2枚のクラッチを用いて、コンピュータ自動制御でギアの偶数段と奇数段を交互に切り替えていく変速方式。ベルトを用いた無段変速(CVT)に比べ、ギアのかみ合わせで動力をタイヤに伝達するため原理的にロスが少ない。ギアの変速感を伴ったキビキビした加速性能も特徴だ。1モーターによるハイブリッドエンジンを前提に、ホンダとしては初めてデュアル・クラッチを採用した。
今回は排気量1.5リットルのシステムを発表したが、もっと小排気量のエンジンにもこのシステムは適用できるという。さらなる低燃費化にも期待できそうだ。

2012/12/01

アップル iTunes 11 提供開始。新デザインと機能追加、iCloud連携強化

アップルがデスクトップ版 iTunes の最新版 iTunes 11 をリリースしました。Mac / Windows ともにソフトウェアアップデートから、まだ来ていなければリンク先ページから直接ダウンロードできます。

YouTubeが非営利団体向けの「キャンペーン」機能を追加 - Engadget Japanese

9月の iPhone 5 / 新 iPod イベントで発表された iTunes 11 は、デザイン全般を一新したほか、再生キューを簡単に参照・変更できる「次はこちら」UI、小さくなって機能が増えたミニプレーヤー、強化された検索、さらに iCloud 連携の強化などが施されています。新機能の概要と一覧は続きへ。
新たに加わった「次はこちら」(Up Next) は、これから再生される曲のリストをすばやく確認して曲を入れ替えられる機能。メインウィンドウ中央やミニプレーヤーの「リスト」アイコンをクリックすることで小さな再生リストが開きます。

リスト中の曲名にマウスをホバーすることで、削除や曲順の変更、関連アーティストやアルバムの参照、プレイリストへの追加などが可能。ライブラリの曲からも、コンテキストメニューで「次はこちら」に追加できます。

「次はこちら」(あるいは「再生キューへ追加」)は気の利いた音楽プレーヤーにはわりとよくある機能ですが、なぜかこれまで iTunes では楽に実現するUIが用意されていませんでした。わざわざ新規プレイリストを作ってブラウズしてetcなしで楽にDJができる仕組みは iOSの「ミュージック」にも欲しいところです。

検索機能の強化では、検索窓へ文字を入力する途中からインクリメンタルに絞り込みが実行され、サムネイル付きの小さなポップアップ画面に表示されるようになりました。この検索窓は新生ミニプレーヤーにもついているため、メインウィンドウでライブラリをブラウズせずに曲を見つけて再生や「次はこちら」に追加できます。

ミニプレーヤーはサイズがさらにコンパクトになったほか、「次はこちら」や進化した検索窓、サムネイルつきリストなどにアクセスできるようになりました。普段は曲名表示と再生コントロールだけのミニマルサイズで、ホバーすれば次の曲など追加情報にアクセスできます。

そのほか、iCloud連携は iCloud からストリーミング再生、オフライン再生のためのダウンロード、映画や Podcast の「続きから再生」デバイス間同期など。


下はアップル公式の新機能解説。

iTunes の新機能

新しい iTunes をご紹介しましょう。驚くほどシンプルになったプレーヤー、デザインが一新された Store、嬉しい iCloud 機能など、これまでで最高の iTunes になりました。

デザインを一新。iTunes で音楽、ムービー、テレビ番組を見つけて視聴するのがもっと楽しくなりました。美しいエッジトゥエッジデザインや、ライブラリにあるアルバム、ムービー、テレビ番組のデザインのカスタマイズ機能、"Store 情報"をクリックするだけでいつでもあなたにお勧めの項目をお知らせする機能など、きっとご満足いただけるでしょう。

新しい Store。iTunes Store のデザインも一新され、スッキリしたレイアウトにより、ホットな話題について知ったり、新しいお気に入りを見つけたりするのがこれまでになく簡単になりました。

購入した項目を iCloud から再生。Apple ID でサインインするだけで、iCloud にあるあなたが購入した音楽、ムービー、テレビ番組をライブラリ内に表示できます。ダブルクリックして iCloud から直接再生したり、デバイスとの同期やオフライン中の再生のためにコピーをダウンロードしたりすることも可能です。

次はこちら。次に再生される曲が、1 つの場所から簡単に分かるようになりました。センターディスプレイの"次はこちら"アイコンをクリックすれば、すぐに表示されます。曲の並べ替え、追加、スキップもいつでも行えます。

新しいミニプレーヤー。さらに小さなスペースでさらに多くのことをできるようになりました。再生中の曲の表示に加えて、アルバムアートが表示され、"次はこちら"が追加され、再生したい新しい曲が見つかりやすくなりました。これらすべてがさらに小さくエレガントになったデザインに組み込まれています。

強化された検索機能。iTunes で探し物をするのがこれほど簡単になったことはありません。検索フィールドに入力し始めるとすぐに、ライブラリ全体から検索結果が返されます。結果から項目を選択すれば、その項目をすぐに操作できます。

再生の同期。ムービーやテレビ番組をどこまで再生したかは iCloud が記憶しています。iPhone、iPad、iPod touch、Apple TV で同じムービーやエピソードを再生すると、ちょうど続きのところから始まります。