ドイツ銀行のロシア部門トップは「市場ではこの数週間、ロシアの大手企業が人民元などアジア通貨建ての様々な商品の利用や、アジアでの口座開設に大きな関心を寄せている」と話す。
ロシア国営の対外貿易銀行(VTB)のアンドレイ・コスチン最高経営責任者(CEO)は、ドル以外の通貨の利用拡大は同行の「主な課題」の一つだと語った。同氏はロシアのプーチン大統領に対し、ルーブルや人民元での決済拡大は5月から取り組んでいる「優先事項」だと述べている。
■経済制裁を受けて欧米への依存度減らす
人民元や香港ドル、シンガポールドルでの取引口座を開設する動きは、対欧関係が緊張するなか、ロシアがアジアに軸足を移そうとしていることを浮き彫りにしている。ロシア企業は経済制裁を受けて欧米の金融市場への依存度を減らしており、欧米の銀行のロシアでの融資活動は3月のクリミア編入以降大幅に縮小している。
ロシア中央銀行もビザやマスターカードなど欧米企業への依存を軽減する決済システムの構築に取り組んでいる。
別の欧大手銀行のロシア支店長は「ロシアがドルへの依存度を減らそうとするのは当然で、理にかなっている」と話す。ロシアの米ドルへの依存度が高ければ、危機時に不安定な市場の影響を受けやすいとも指摘。「日本との取引をドルで決済する理由はない」と語った。
輸出での売り上げの70%を米ドルで受け取っているロシアのあるメーカーのCEOは、制裁が強化された場合に契約の決済を移す準備を整えたと話す。「何かあれば、ほかの通貨に代える用意はできている」と語った。
ロシア国営ガスプロムの石油部門のアレクサンドル・デュコフCEOは、契約をドル以外の通貨にする可能性について顧客と協議したことを明らかにしている。資源大手ノリリスクニッケルもフィナンシャル・タイムズ紙に対し、中国の顧客と長期契約を人民元建てにすることを検討していると語った。
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