2014/06/29

格安スマホ、安くなる仕組みって?

◇回線借りてコスト減 速度遅くデータ量に限り

 なるほドリーマン君 利用料金が格安のスマートフォン(多機能携帯電話(たきのうけいたいでんわ)、スマホ)が人気らしいね。
 記者 NTTドコモなどの大手だと月額利用料が平均7000円程度かかりますが、半額以下の「格安スマホ」が登場しています。口火を切ったのが大手スーパーのイオン。4月に通信料と端末代金の分割払い分を合わせて月2980円(税抜き)の格安スマホを発売し、ビックカメラやエディオンなどの家電量販店などに広がっています。7月には玩具大手バンダイの子会社も参入します。
 Q どうして安いの?
 A 基地局などの通信設備を持たず、コストが抑えられているからです。格安スマホ各社は「MVNO」(仮想移動体(いどうたい)通信事業者)と呼ばれる通信会社と協力して販売しています。MVNOは「Mobile Virtual Network Operator」の略で、大手から通信回線を借りて設備を持たないことから「仮想」と呼ばれ、費用も抑えられるのです。格安スマホの利用者は、MVNOと利用契約を結ぶことになります。
 Q 機能は同じなの?
 A 大手から借りた一部の回線を分けあって使うので、安い代わりに通信速度は遅く、1カ月間にやりとりできるデータ量も限られています。大手の一般的な料金プランでは高速通信「LTE」(最大毎秒150メガビットの速度)を使って月7ギガバイトまでデータをやりとりできますが、ビックカメラは通信速度が毎秒14・4メガビット、容量は1ギガバイトです。容量を超えると通信速度が大幅に遅くなるのは大手と同じです。イオンの格安スマホは容量に制限はないものの、通信規格はLTEの1世代前の「3G」。通信速度はLTEの750分の1で動画視聴には向きません。端末の機種を型落(かたお)ちの1種類に限定していることも安さの理由です。
 ただ、総務省の調査では一般的なスマホ利用者が月に使うデータ通信量は1・6ギガバイト。大手が用意する月7ギガバイトのプランは容量が多過ぎるという利用者が大半のようです。ニュースサイトの閲覧(えつらん)を1日25分▽写真などを添付したメールの送受信を1日15通▽動画の視聴を1日5分▽音楽のダウンロードを2日に1曲−−を1カ月間続けると1ギガバイト程度になると言われます。動画を大量に見たり、スマホで撮(と)った写真などをたくさんやりとりしたりする人には向かないかもしれませんが、通常のメールのやりとりやネットの閲覧には大きな支障はなさそうです。
 Q 売れているの?
 A イオンは4月の発売以降、予定の8000台をほぼ完売しました。購入者の65%が55歳以上の中高年層で「スマホを使ってみたいけど少し難しそう」と感じていた初心者の取り込みに成功したようです。
 実は、3年以上前から格安でスマホを利用できる方法はありました。スマホは、通信プランなどの利用者情報を記録するICカード(SIMカード)を端末に差し込んで使いますが、格安のMVNOのSIMカードと、対応する格安端末を利用者自身が買って設定する必要がありました。カードと端末は別々に売られ、初心者にはハードルが高かったのです。最近はMVNOと小売店が協力して端末とSIMカードをセット販売し、「分かりやすさ」を打ち出したことがヒットにつながっています。
 Q 普及するかな?
 A 国は通信回線の独占を防ぎ、価格競争を促すため、回線の一部をMVNOに貸し出すよう大手に求めていますが、スマホや携帯などの移動通信市場でのシェアは約4%にとどまっています。ドイツやフランスは15%、米国は10%程度と言われており、国は大手が貸し出す回線の料金引き下げを進めています。
 ドコモが6月から通話定額でデータ通信量を家族で共有できる新料金プランを始めるなど、大手も料金体系の見直しに動いています。格安スマホの台頭は、スマホ市場全体にとって大きな変化をもたらすきっかけになるかもしれません。
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 ◇Background

 格安スマホの陰の主役、MVNOは日本通信が老舗。2001年にDDIポケット(現イー・アクセス)のPHS回線を借りて事業を始めた。昨年末時点のMVNOは161社、契約者数は前年比36.1%増の1375万件だった。

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