2014/07/20

<韓国観光>日本、首位譲る 街並み一転「中国歓迎」に




韓国の観光事情に異変が起きている。昨年初めて、国別の訪韓者数で中国が日本を追い抜き、首位に躍り出たからだ。円安や日韓外交の悪化で訪韓日本人が減少する中、中国人観光客はビザの要件緩和もあり増え続けている。街中の案内板も日本語より中国語が目立つようになってきた。

【韓国側も考えて】日韓観光「原因は日本にあると、怒られっぱなしでは…」

 若手俳優のパネルと並び、記念撮影する女性グループが「イー、アル、サン(中国語で一、二、三)」と唱和する。ソウル市内で6月10日に開幕した韓国の人気ドラマ「星から来たあなた」の特別展。訪れる約8割は中国人や台湾人で、実物大のセットが設けられた館内は中国語の会話が飛び交う。

 民放のSBSが昨年12月~今年2月放映したこのドラマは中国にもネット配信され、25億回以上再生された。会場には日本語通訳もいるが、SBSイベントプロデューサーの趙在弘(チョウ・ジェホン)さん(34)は「グッズを大量に買ってくれるし、中国のマーケットは大きい」と話し、中国人の存在感は圧倒的だ。

 為替レートが1円=14ウォンに達した2012年、日本から韓国には過去最高の351万人が訪れ、2位中国とは68万人差があった。だがこの年8月、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島(韓国名・独島)を訪問するなどし、日韓外交は関係悪化。さらに円安に反転した13年には1円=10ウォンを一時割り込み、訪韓日本人は274万人に減った。

 一方、有効期間中何度も入国できるマルチビザの発給要件が10年に中間層まで緩和された中国人の訪韓は年々増え、13年には432万人に。記録が残る1975年以来、37年間続いた国別トップを日本から奪取した。

 街中でも“中国シフト”が目立つ。01年開港の仁川(インチョン)空港では、日本語に続いて中国語を示す案内板が多いが、今年5月にリニューアルオープンした文化観光広報館「青瓦台サランチェ」(ソウル市)は中国語が先だ。最近できた他の新施設でも同様の例が見られる。

 そうした中、政府機関の韓国観光公社は、旅行会社が主催する日本発のツアー客を対象に、現地の市場で使える商品券を贈る「“韓国”たび旅キャンペーン」を展開している。また、仁川で今秋開催のスポーツイベント「アジア大会」の新スタジアムや、世界遺産登録が6月22日に決まった京畿道(キョンギド)の史跡「南漢山城(ナムハンサンソン)」などの新名所をPRし「韓国を訪れる日本人を年間300万人まで回復させたい」と意気込む。

 ただ、昨年末には安倍晋三首相が靖国神社を参拝し日韓外交は平行線。ドラマ「冬のソナタ」に始まる韓流ブームも下火になりつつあり、旅行業大手の担当者は「安さと近さが魅力の韓国だったが、今後は『どうしても行きたい』との付加価値をつけていかねばならない」と話している。

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