中国のインターネット掲示板は25日、中国人船長の帰国を受けて、対日「勝利」をたたえ、一層の強硬な措置を求める声で沸騰した。
事件を巡って日本に「謝罪と賠償」を要求、より大きな外交成果を得ようとする胡錦濤政権を、「反日世論」が後押ししている。
大手ポータルサイトでは、24日の船長釈放決定後、数千規模の書き込みが殺到、「日本投降。9月24日は21世紀の戦勝記念日だ」「船長は抗日英雄だ」などと「圧勝」に酔いしれた。
「謝罪と賠償」要求については、大多数が「全面的な支持」だ。「胡錦濤国家主席は海軍を出動させ、日本を懲らしめるべきだ」などと、軍事行動を求める者も少なくない。
レアアース(希土類)の輸出を事実上停止している措置に関しても、「日本には経済制裁が一番有効だ」などと賛同する意見が多い。日本製品の不買運動や訪日旅行の自粛などの呼びかけも続出し、「愛国行動として支持する」との声が広がる。今後、経済面での民衆レベルの反日行動が表面化する恐れがある。
中国のネット人口は4億人以上。民主主義国家と違って「言論の自由」がない中国では、比較的自由な「ネット世論」が影響力を拡大、政権はその動向に細心の注意を払っている。対日政策で「弱腰」と見なされれば、共産党さえ匿名の群衆から袋だたきに遭う。
政権には、ネットが過熱している状況では、日本に対して柔軟な姿勢は取りにくいという事情がある。
もっとも、「日本に勝った」という凱歌(がいか)を上げるネット世論と、「菅政権から一層の譲歩を引き出せる」(外交筋)と読んで強硬姿勢を崩さない政権はいま、同じ方向を向いている。
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