2010/07/30

スマートフォン ウイルスに注意 技術情報公開がリスクに

 米アップル社の「iPhone(アイフォーン)」をはじめとする高機能携帯電話「スマートフォン」の人気が高まる中、コンピューターウイルス感染が懸念されている。従来の携帯電話に比べ、スマートフォンは基本ソフトの技術情報が公開されており、ユーザーが自由にアプリケーションをダウンロードして機能を拡張できる。このため、安易にダウンロードすれば感染の恐れがある。普及が進む海外では被害も報告されており、専門家は警戒を呼びかけている。(森本昌彦)

[フォト]これがウイルスに感染したスマートフォン 

 ◆これまでに700個

 「スマートフォンについては、これから非常に危険な状態になってくるでしょう」。平成14年から携帯電話のセキュリティーに取り組んでいるマカフィー(東京都渋谷区)のモバイルエンジニアリングプログラムマネジャー、石川克也さんはこう語る。

 同社によると、これまで見つかった携帯電話を狙ったウイルスは約700個。初期のころは画面に不適切な画像を表示するなどいたずら的なものが多かったが、近年ではユーザーを悪質なウェブサイトに誘導して個人情報を盗もうとするウイルスも確認されている。日本に比べ、スマートフォンが普及している海外ではウイルス感染は頻繁だという。

 なぜ従来の携帯電話に比べ、スマートフォンのほうが危険性が高いのか。従来の携帯電話と異なり、スマートフォンは基本ソフトの技術情報がある程度公開されている。

 このため、アプリケーションソフトを作りやすい環境となっており、悪意を持った人間が有害なソフトを作成し、ユーザーがダウンロードする危険性が高まっているという。

 さらにスマートフォンの場合、携帯電話用のサイトではなく、多くの人に開かれたインターネット上のサイトに接続することが多い。携帯電話通信社ごとの閉じられたネットワークと異なり、開かれたインターネットには有害なサイトがあふれている。石川さんは「開かれたインターネットに直接接続できるのはユーザーにとって利便性は高いが、裏にはセキュリティーリスクが隠されている」と指摘する。

 ◆疑うことが大切

 平成12年ごろから携帯電話対象のウイルス対策に取り組むエフセキュア(港区)のテクノロジ&サービス部長、八木沼与志勝(よしかつ)さんも「スマートフォンは持ち歩くコンピューターなのでリスクは高い」と話す。

 両社ともスマートフォンの普及が進む海外では、すでにスマートフォン対象のウイルス対策ソフトを販売。日本でも発売を検討している状況という。

 八木沼さんは「アプリケーションをダウンロードをする前に、そのサイトは安全なのかなどを確認してほしい。一番大切なのは疑ってかかることです」と話す。個人の危機管理意識を高めることが何よりも重要といえそうだ。

【用語解説】スマートフォン

 パソコンに近い感覚で、メール管理やウェブサイトを閲覧できるほか、スケジュール管理、パソコンで作成した文書を見たりできるなどさまざまな使い方を楽しめる高機能の携帯電話。ウェブサイトからアプリケーションソフトをダウンロードし、機能を拡張できることも大きな特徴となっている。

 海外で普及が進んでいたが、日本でも米アップル社の「iPhone」のヒットをきっかけに人気が上昇。携帯電話通信各社が相次いで商品を発売した。

 矢野経済研究所(東京都中野区)によると、平成19年のスマートフォンの出荷台数は96万台だったが、21年には194万5000台に増加。22年は284万台の出荷が予想され、25年には571万台の出荷が見込まれている。

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