2010/07/28

米国による「3段階」の対北制裁とは

米国が推進している対北朝鮮金融制裁の輪郭が浮かび上がってきた。
 ワシントン外交消息筋が25日に明らかにした3段階からなる対北朝鮮金融制裁の特徴は、米国の金融機関を積極的に活用するというものだ。
 第1・第2段階では、オバマ行政当局が、問題が多い北朝鮮の口座主体などに圧力をかける方針だ。特に、中国や東南アジアで北朝鮮と取り引きしている金融機関に対し、北朝鮮との取り引きを中止するよう直接要請する構えだ。米国の要請に対し、第3国の金融機関が協力しない場合は、世界の金融網を掌握している米国の各銀行が立ち上がるものと見られる。
 この消息筋は「例えば、中国のB・C銀行が非協力的な態度を示した場合、米国のC銀行などにこうした銀行との取り引きを中止するよう勧告することになる。米国の銀行との取り引きが断たれるのは、中国の銀行にとって致命的なダメージとなる」と語った。
 同消息筋のこうした発言は、すでに米財務省が対北朝鮮制裁に関する内容を該当する金融機関と協議していることを示唆するものだ。米国は2001年の同時多発テロ事件後に制定された「愛国者法(テロ対策法)」などを活用し、米国の安保に多少なりとも危害を加える可能性がある事案については、民間企業に積極的な協力を要請している。
 また、同消息筋は今回の対北朝鮮金融制裁を通じ、「第2のバンコ・デルタ・アジア(BDA)」のような効果を狙っていることも示唆した。米国は今回、特定の銀行ではなく、主に問題が多い資金口座を中心に追跡しているが、予想外の効果を上げる可能性もあるとみている。
 同消息筋は「BDA制裁は、米行政当局が米国の銀行を対象に『BDAは問題が多いため、取り引きをするな』と勧告したにすぎなかったが、かなりの効果があった」と話す。米国は05年、北朝鮮との非合法的な取り引きが疑われていたマカオの銀行BDAを「マネーローンダリング(資金洗浄)懸念対象」に指定した。すると、これに危機感を持ったBDAが、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の統治資金といわれる2500万ドル(現在のレートで約22億円)を凍結する措置を取り、北朝鮮は苦しい立場に立たされた。
 こうした動きに伴い、ロバート・アインホーン国務省対イラン・北朝鮮制裁担当調整官(不拡散・軍縮担当)は来月2日ごろから、韓国・中国・東南アジアなどを訪問し、米国の対北方針を積極的に推し進めるものとみられる。この際、中国政府や各銀行が米国の措置にどれだけ協力する姿勢を見せるかが、対北朝鮮制裁措置の成果を左右するとの予測もある。米政府関係者は、中国の各銀行は世界の金融界に完全に組み込まれることを望んでいるだけに、米国の協力要請を簡単に断れないものとみている。

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