2013/07/21

アップル「iWatch」秒読み 「グーグルグラス」との徹底比較は確実

 肌身離さず身につけることができる次世代の「ウエアラブル・コンピューター」をめぐり、米アップルがいよいよ腕時計型端末「iWatch(アイウオッチ)」の発売に踏み切るようだ。日米両国で商標登録を申請したのに続き、実用化のための開発メンバーを続々と新規採用していることが判明した。

 発売すれば、ライバルの米グーグルが5月に試験販売した眼鏡型の「グーグルグラス」と、徹底比較されるのは確実。革新的な製品を世に送り出すことができず、株価も低迷が続くアップルは、かつての輝きを取り戻せるのか。その出来栄えに注目が集まっている。

 「アップルはここ数週間、ウエアラブル・コンピューター分野の専門知識を持つ人材をアイウオッチ計画のメンバーとして積極的に採用している」。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版は16日までに、こう報じた。さらにFTは情報筋の話として、アイウオッチの開発チームの上級メンバーが退社を示唆したところ、大幅な給与アップを提示され、社にとどまることになったと伝えた。

 今月に入り、欧米メディアでは、アイウオッチをめぐる報道が相次いでいる。フランス通信(AFP)によると、アップルは仏高級ブランド「イブ・サンローラン」のポール・ドヌーブ前CEOを上級副社長に迎え入れるという。1990年代にアップルに所属した後、複数の高級ブランドでキャリアを積んでおり、アイウオッチのデザインを担当すると噂されている。さらに日本の特許庁に「iWatch」の商標登録を申請していることも判明した。

 いったいどんな製品になるのか。その一端も見えてきた。特許庁への申請では、商品区分として時計に加え、携帯型コンピューター、デジタルオーディオプレーヤー、GPS(衛星利用測位システム)端末、音声認識ソフトウエアなどが列挙されており、こうした機能を詰め込んだ“夢の時計”となる可能性がある。また、体調などを管理するセンサーが搭載されるとの見方も有力だ。

 アップルは一連の報道に対してコメントを拒否している。ただ、ティム・クックCEO(52)は今年4月の決算報告会で「われわれのチームは驚くべき新製品の開発に向け懸命に働いている」と述べており、市場やマニアの間では、今秋にも発売されるとの見方がもっぱらだ。

 クック氏は5月に、ウエアラブル端末について、「革新に向け機は熟している」と発言。同時期にソフト開発者向けに販売されたグーグルグラスについて、「私は眼鏡はこの分野の機器には向かないと考えている。手首に装着する機器が自然だ」と語り、腕時計型が主流になるとの自信も示している。実際、グーグルグラスをめぐっては、プライバシー侵害などの問題点が指摘され、カジノやレストランなど一部で装着禁止にする動きが出ている。

 iPodやiPhone、iPadなど革新的な製品を生み出してきた創業者、スティーブ・ジョブズ氏(1955~2011年)を失ってから2年近く。アップルの株価は最高値から4割も目減りしたままだ。スマートフォンに続く次世代端末として期待されるウエアラブル・コンピューター分野で世界を驚かすことができるのだろうか。

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