韓国野党第1党の民主党で院内スポークスマンを務める洪翼杓(ホン・イクピョ)議員が、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領などについて「生まれるべきではなかった」と発言した問題で、韓国政治がまたしても紛糾している。洪議員は自分の発言の責任を取って院内スポークスマンの職を辞任したが、国会のスケジュールは中断した。
韓国大統領府(青瓦台)は12日午前、李貞鉉(イ・ジョンヒョン)広報首席自身が「国会議員が言ったとは思えないほどの暴言にして妄言。自由民主主義に対し真っ向から挑戦している」と批判した。また、与党セヌリ党は緊急の最高委員会議を招集し「洪議員の党職辞任と謝罪、キム・ハンギル民主党代表の謝罪がない場合、国会のスケジュールを中断する」として、各種会議への出席をボイコットした。
この影響で、南北首脳会談対話録閲覧のための事前準備会議、公共医療機関「晋州医療院」の問題を話し合う国政調査、加湿器殺菌剤被害救済法案を話し合う公聴会などの日程が全て停止した。「発するべきではなかった言葉」が原因で、国政上重要な各種の懸案が軒並み後回しにされたわけだ。
こうした与党側の対応に、民主党からは「国家情報院(国情院)の大統領選介入疑惑をめぐる国政調査という局面を打開するための戦略」という声が上がっており、こうした見方はそれほど間違ってもいないという。とはいえ、洪議員の発言が極めて「まずかった」せいで、民主党のこうした主張も肩身が狭くなった。
暴言問題は韓国政界に以前から存在していたが、最近はこれが一層頻繁になっている。先の第18代国会では、一部議員が同僚議員から「ぞんざいな政治用語禁止の誓約書」まで書かせようとしていたほどだ。にもかかわらず、昨年の総選挙と大統領選挙では、再び「朴槿恵(パク・クンヘ)の女郎」「ペク・ソンヨプ(将軍)は民族の反逆者」などの暴言が飛び出した。セヌリ党もまた、大統領選挙で野党側の候補一本化を「エイの○○(不要なもの、くみしやすい相手という意味)」になぞらえ、さらに「文在寅(ムン・ジェイン)候補・安哲秀(アン・チョルス)候補に投票したら民主主義の逆賊」と発言して逆風に見舞われた。
昨年2度の選挙で暴言のために苦しんだはずの民主党は、最近も「選挙はそもそも無効だという闘争が提起されることもあり得る」「国情院長、こんなおかしなやつがどこにいるか」と言ったり、朴槿恵大統領に向かって「燕山君(朝鮮王朝第10代国王。暴君だったといわれる)と何が違うのか」と言うなど、危険水位を超えていた。さらに、今回の洪議員の発言により、自分で自分の足を引っ張ることになった。
とはいえセヌリ党も、国会審議をストップさせたままにした場合、同様に批判の声が上がる可能性は高いとみられる。相手の暴言を自分のチャンスと考え、政略的に利用しようとしている、という声が上がるはずだからだ。また、南北首脳会談対話録の閲覧や国情院の大統領選介入疑惑に対する国政調査は、真実を確認しない限り次の段階には進み難い、という側面もある。
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