2014年も残りわずか。「今年最後の運試し」として、年末ジャンボ宝くじの購入を恒例行事としている人も多いのではないだろうか。1等が当たる確率は1000万分の1、交通事故で死亡する確率よりもはるかに低いなどと言われるが、それでも買わなければ当たらないことに変わりはない。
しかし宝くじに当せんし、一瞬にして大金が手元に舞い込んできた時、あなたの生活はどう変化するのだろう。「私は何も変わらない」と考えていたとしても、いざ大金を目の前にして心がどう動くかなど、予想できるものではない。そして世界には、高額当せんを境として人生が悪い方向へと転がってしまった人々の例がいくらでも存在する。今回はその中でも、特に有名な当せん者7名を厳選して紹介しよう。
1. 吉田寿子さん(日本・岩手県) 2005年に2億円の宝くじに当せんしたが、その後行方不明に。仕事を通して知り合い、親密な関係にあった男・熊谷甚一容疑者が殺人の疑いで逮捕される。そして供述通り遺体が発見された。熊谷容疑者は、吉田さんが当せんの事実を明かした唯一の人間だった。
2. アブラハム・シェークスピアさん(米国・フロリダ州) 2006年に宝くじで3,100万ドル(約36億円)を当てたが、2009年に行方不明となり、2010年に白骨化遺体となって発見される。高額当せんが報じられた直後から、多くの人間が彼の周囲に群がるようになった。結局その中の1人、シェークスピアさんのフィナンシャル・アドバイザーを自称していたドリス・ムーアという女が逮捕された。
3. ジャック・ウィテカー Jr.さん(米国・ウェストバージニア州) 2002年に3億1,500万ドル(約370億円)が大当たり。しかしその後は訴訟や盗難などのトラブルが続き、2003年に孫娘の恋人宅で遺体となって発見された。ジャックさんから金銭的な援助を受けていた孫娘も、それから1カ月後に薬物の過剰摂取で死亡している。
4. ジェフリー・ダンピエールさん(米国・イリノイ州) 1986年に2,000万ドル(約34億円)に当せん。周囲の人々に家や車などさまざまなプレゼントを贈り、リッチな生活を満喫していたが、義理の妹とその恋人によって誘拐の上、殺害された。
5. マイケル・キャロル(英国・ノーフォーク) 2002年に970万ポンド(約18億円)に当せん。家族や友人たちへの贈り物、パーティー、さらには売春婦やドラッグにも金を注ぎ込み、その後8年間で全てを使い果たす。現在は失業保険で暮らしている。
6. スチュアート・ドネリー(英国・スコットランド) 1997年に17歳で2,500万ポンド(約37億円)に当せん。当せん者が複数いたため、スチュアートさんは約3億円を受け取った。その日を境に彼の周囲には、便宜を受けようとする人々が群がり始める。やがて人間不信に陥り、引きこもるようになったスチュアートさんは、2010年に29歳の若さで孤独死を遂げた。
7. キャリー・ロジャース(英国・カンブリア) 2003年に16歳で190万ポンド(約3億5,000万円)に当せん。ファッション、パーティー、整形手術、恋人への貢物......と浪費の限りを尽くした末、経済的に困窮。その後、2度の自殺未遂を起こし、現在はメイドをしながら借金の返済に追われている。
高額当せん金のみならず、悲惨な人生も手に入れてしまった人々――。彼らが性格に問題を抱えていたのかどうかは分からない。しかし高額当せん者を追跡調査すると、不幸になるケースの方が多いとの指摘もあり、少なくとも大金が彼らの人生を暗転させる引き金となったことは間違いないだろう。
日本では現在、1億円以上が当せんしているにもかかわらず、換金されないまま放置されている宝くじが40本近く存在するようだ。その中には、自分の人生が大きく変わることを恐れ、"あえて"換金しない道を選んだ当せん者がいる可能性もある。"世界一貧乏な大統領"、南米ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領は「貧乏人とは持たざる者のことではなく、多くを欲しがる者のことだ」と語っているが、人間"足るを知る"ことこそが幸せへの近道なのかもしれない。
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