【海外事件簿】 台北市内の路上で2月3日未明、タクシーの日本人乗客ら4人が運転手とトラブルになり、乗客が運転手に殴る蹴るの暴行を加え、重傷を負わせる事件が発生した。台北地方検察署は7日、男性1人と女性1人を傷害罪などで起訴した。この女性が台湾を舞台に活動する日本国籍の美人タレントだったことから台湾メディアは大きく報道した。インターネット上では市民の批判が噴出し、対日感情の悪化も懸念される事態に発展、日台双方の交流窓口機関なども対応に追われるハメとなって…。(台北 吉村剛史)
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■「注意」がアダに
地元警察や台北地検などによると、傷害罪で起訴された男性は、東京都内でバーなどを経営するとされる友寄隆輝被告(34)。
また、器物損壊と傷害の罪で起訴されたのは、MAKIYOの名前で、主に台湾を舞台に活動しているタレント、川島茉樹代被告(27)。
事件は3日未明、台北市内の路上で両被告が友人の女性2人と市中心部のレストランで飲酒後、ホテルに向かうため計4人でタクシーに乗車した。
しかし、ホテルに向かう途中の車内で、運転手(55)と口論になり、路上で車を停止させた後、両被告が運転手の頭や胸に殴る蹴るなどの暴行を加え、運転手に骨折などの重傷を負わせた。
台湾では今年2月1日以降、乗用車の後部座席でもシートベルトの着用義務に違反した場合、運転手の告知がなければ乗客に最高6000台湾元(約1万5000円)の罰金が科されるようになったため、運転手が注意したのが口論のきっかけだったという。
病院に搬送された運転手は意識を失い、集中治療室で処置を受けるなど一時は重体だったが、その後、一般病室に移り、会話できるまでに回復している。
■対日感情悪化も危惧
悪質な暴行・傷害事件であるだけでなく、加害者の1人が美人タレントとあって、主要テレビ各局が「運転手に申し訳ない」などと頭を下げる両被告の謝罪会見などを、時間を割いて繰り返し報道した。
川島被告は神奈川県出身。母親が台湾籍で、1999年、台北日本人学校在学中に携帯電話のCMでデビューし、以後、歌手などとしても活動し、日台ハーフのタレントとして台湾では知られている。
その後、一緒にいた他の女性2人も台湾のタレントだったことや、現場を通りかかった別のタクシーの走行記録ビデオに、両被告の暴行の様子が写っていたことも判明した。
謝罪会見での釈明との食い違いなども強調され、聯合報、自由時報、中国時報、蘋果日報といった有力各紙も一面や事件関連のトップニュースで扱い、識者の論評を掲載するなど台湾社会を揺るがす騒ぎに発展した。
さらにネット上ではフェイスブックに「反MAKIYOオフィシャルページ」が立ちあげられるなど、両被告らへの批判が噴出。東日本大震災では被災地に200億円もの義援金が寄せた台湾の強い親日感情にも影響が懸念される社会現象になった。
事態を重視した日本側の対台湾交流窓口機関、財団法人交流協会台北事務所(大使館に相当)は、両被告と接触し、弁護士の選定などの相談に応じる一方で、台湾側に「台湾の司法を尊重する」と表明した。
一方、台湾側も外交部(外務省に相当)の報道官が報道陣に対し「対日関係には影響しない。裁判は公平に行われる」と説明するなど、対応に追われた。
■馬英九総統も言及
事件の余波は各方面に及んでいる。
シートベルト着用の注意に対し、酒に酔っていた両被告が反発したことが事件の発端とされているだけに、台北市政府交通局では、中、日、英の3カ国語で、タクシー乗客にシートベルトの着用を呼びかけるステッカー1万枚の作成に乗り出し、9日からタクシーへの配布が始まった。
中国語のみのステッカーは、罰則免除期間だった昨年から、今年2月にかけ、すでに計7万枚が配布されてきたが、今回の事件の当事者が日本人だったため、言葉の問題にも追って配慮したかっこうだ、
台湾の中央通訊社によると、一部運転手は自主的に「シートベルト着用をお願いします、殴らないでください」などと書いたステッカーを用意しはじめていたという。
台湾では1月の総統選、立法委員(国会議員)選後、9連休という春節(旧正月)休暇はさんで話題が乏しくなっていたことから、この話題にマスコミが飛びついたとみられており、被告らの私生活にまで踏み込んだ一部報道には、「過剰報道」との見方も浮上している。
そのせいか、事件の話題は政権与党、中国国民党(国民党)中央常務委員会にも波及した。
同党主席の馬英九総統は、同会の席上、この事件に触れ、「車で移動中に、ラジオニュースで聞いて知った」と話し、「MAKIYO」の名が、自身の姓の「馬」(Ma)と発音が近いことから、自分のことを話題にしているのか、と一瞬勘違いしたエピソードを披露した。
その上で、「よく調査して事件の真相を明らかにし、法に則って処理すべき案件」として、メディアや社会の感情的な反応を牽制(けんせい)している
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■「注意」がアダに
地元警察や台北地検などによると、傷害罪で起訴された男性は、東京都内でバーなどを経営するとされる友寄隆輝被告(34)。
また、器物損壊と傷害の罪で起訴されたのは、MAKIYOの名前で、主に台湾を舞台に活動しているタレント、川島茉樹代被告(27)。
事件は3日未明、台北市内の路上で両被告が友人の女性2人と市中心部のレストランで飲酒後、ホテルに向かうため計4人でタクシーに乗車した。
しかし、ホテルに向かう途中の車内で、運転手(55)と口論になり、路上で車を停止させた後、両被告が運転手の頭や胸に殴る蹴るなどの暴行を加え、運転手に骨折などの重傷を負わせた。
台湾では今年2月1日以降、乗用車の後部座席でもシートベルトの着用義務に違反した場合、運転手の告知がなければ乗客に最高6000台湾元(約1万5000円)の罰金が科されるようになったため、運転手が注意したのが口論のきっかけだったという。
病院に搬送された運転手は意識を失い、集中治療室で処置を受けるなど一時は重体だったが、その後、一般病室に移り、会話できるまでに回復している。
■対日感情悪化も危惧
悪質な暴行・傷害事件であるだけでなく、加害者の1人が美人タレントとあって、主要テレビ各局が「運転手に申し訳ない」などと頭を下げる両被告の謝罪会見などを、時間を割いて繰り返し報道した。
川島被告は神奈川県出身。母親が台湾籍で、1999年、台北日本人学校在学中に携帯電話のCMでデビューし、以後、歌手などとしても活動し、日台ハーフのタレントとして台湾では知られている。
その後、一緒にいた他の女性2人も台湾のタレントだったことや、現場を通りかかった別のタクシーの走行記録ビデオに、両被告の暴行の様子が写っていたことも判明した。
謝罪会見での釈明との食い違いなども強調され、聯合報、自由時報、中国時報、蘋果日報といった有力各紙も一面や事件関連のトップニュースで扱い、識者の論評を掲載するなど台湾社会を揺るがす騒ぎに発展した。
さらにネット上ではフェイスブックに「反MAKIYOオフィシャルページ」が立ちあげられるなど、両被告らへの批判が噴出。東日本大震災では被災地に200億円もの義援金が寄せた台湾の強い親日感情にも影響が懸念される社会現象になった。
事態を重視した日本側の対台湾交流窓口機関、財団法人交流協会台北事務所(大使館に相当)は、両被告と接触し、弁護士の選定などの相談に応じる一方で、台湾側に「台湾の司法を尊重する」と表明した。
一方、台湾側も外交部(外務省に相当)の報道官が報道陣に対し「対日関係には影響しない。裁判は公平に行われる」と説明するなど、対応に追われた。
■馬英九総統も言及
事件の余波は各方面に及んでいる。
シートベルト着用の注意に対し、酒に酔っていた両被告が反発したことが事件の発端とされているだけに、台北市政府交通局では、中、日、英の3カ国語で、タクシー乗客にシートベルトの着用を呼びかけるステッカー1万枚の作成に乗り出し、9日からタクシーへの配布が始まった。
中国語のみのステッカーは、罰則免除期間だった昨年から、今年2月にかけ、すでに計7万枚が配布されてきたが、今回の事件の当事者が日本人だったため、言葉の問題にも追って配慮したかっこうだ、
台湾の中央通訊社によると、一部運転手は自主的に「シートベルト着用をお願いします、殴らないでください」などと書いたステッカーを用意しはじめていたという。
台湾では1月の総統選、立法委員(国会議員)選後、9連休という春節(旧正月)休暇はさんで話題が乏しくなっていたことから、この話題にマスコミが飛びついたとみられており、被告らの私生活にまで踏み込んだ一部報道には、「過剰報道」との見方も浮上している。
そのせいか、事件の話題は政権与党、中国国民党(国民党)中央常務委員会にも波及した。
同党主席の馬英九総統は、同会の席上、この事件に触れ、「車で移動中に、ラジオニュースで聞いて知った」と話し、「MAKIYO」の名が、自身の姓の「馬」(Ma)と発音が近いことから、自分のことを話題にしているのか、と一瞬勘違いしたエピソードを披露した。
その上で、「よく調査して事件の真相を明らかにし、法に則って処理すべき案件」として、メディアや社会の感情的な反応を牽制(けんせい)している
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