2012/02/12

ラースと、その彼女

『きみに読む物語』『16歳の合衆国』の若き演技派ライアン・ゴズリングが主演を務めた本作は、内気な青年とその周りの人々を温かく描くハートフルドラマ。アカデミー脚本賞にノミネートされた。監督はこれが2作目となるCM作家出身のクレイグ・ギレスビー。“リアルドール”に恋をするという型破り(ある意味スキャンダラス?)な設定のため、製作まで4年の年月を要したという。カナダ・トロントの美しい雪景色の中、現代社会で希薄になった人間関係がひとりの純朴な青年によって再生していくさまを、温かい視線で描いている。ライアン・ゴズリングの卓越した演技力に注目したい一作だ。



あらすじ - ラースと、その彼女

アメリカ中西部の小さな田舎町。ラース・リンドストロム(ライアン・ゴズリング)は、人々から“ミスター・サンシャイン”と呼ばれる心優しい青年。彼は兄のガス(ポール・シュナイダー)と義姉カリン(エミリー・モーティマー)の家の敷地に一人で暮らしていた。幼い頃のトラウマから、人とのかかわりを避けるようになった彼の社交といえば、週一回の教会への参列と会社での同僚とのおしゃべりぐらい。そんなある日、ラースが“彼女を家に招待した”と兄夫婦のもとを訪れる。内気な弟に恋人ができた、と喜んだのも束の間、現れたのはインターネットで購入した等身大人形。しかし、ラースはその人形を“ビアンカ”と呼び、“彼女”の生い立ちや性格を楽しそうに説明する。弟が完全に正気を失ったと唖然とするガス。カリンはどうしたものかと、医師のダグマー・バーマン(パトリシア・クラークソン)に相談を持ちかける。だが、ダグマーは“周りの人間がラースの世界を受け入れてあげることが、問題の解決になるかもしれない”と助言。ガスとカリンはラースのために、街の人々にビアンカを受け入れるよう理解を求める。戸惑いを見せながらもビアンカの存在を認めていく住人たち。そして、ビアンカがボランティアなど町の行事に参加するようになるにつれ、いつしか人々の間に失われていた町民同士の交流が蘇ってくる。それは、ラースの行動にも影響を与えた。ビアンカが町に溶け込んでいくにつれ、苛立ちを見せるようになってきたのだ。次第にギクシャクしていく二人の関係。だが、その本当の原因は、ラースが仕事仲間のマーゴ(ケリ・ガーナー)に対して愛情を抱き始めたことにあった。そして、ラース自身がそのことに気付いたとき、ビアンカが病に倒れてしまう……。

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