天の川銀河(銀河系)の中心にある超大質量ブラックホールは、小惑星を“食べ放題”の状態だという。
地球から2万6000光年離れた銀河系の中心「いて座A*(いてざエースター)」付近には、超大質量ブラックホールが存在する。周囲には、超高温のガスが渦を巻いた「降着円盤」が形成されており、そこに物質がのみ込まれると電磁波が放出される。
1999年に打ち上げられたNASAのチャンドラX線観測衛星によると、ブラックホールの周囲で明るいX線フレアが発生していることも判明。地上からも、チリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTで赤外線観測されている。
フレアは毎日のように発生しており、最大で1時間ほど続く。通常のブラックホールが放つ強さと比べて100倍にまで達することもある。
研究チームのリーダーでイギリスにあるレスター大学の天文学者カスティーティス・ズボヴァス(Kastytis Zubovas)氏は、「このフレアは、小惑星がブラックホールの降着円盤に引き込まれるときの“断末魔の叫び”だと考えられる」と話す。
研究チームはチャンドラのデータを基にコンピューターモデルを構築。降着円盤の端から少なくとも1億6000万キロの場所で、数兆個の小惑星が群れをなし、いて座A*を周回している可能性が明らかになった。
ブラックホールの重力によって小惑星の軌道に摂動が起きると、その小惑星はブラックホールに向かって落ちていき、潮汐力(ちょうせきりょく)でバラバラに引き裂かれる。残骸の岩石は降着円盤内部の高温ガスに出会い、ちょうど地球の大気中で崩壊していく流星と同じように気化していく。この現象が発生するとき、地上からでも明るい放射線のフレアが観測できるというわけだ。
◆食欲の衰えないブラックホール
アメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるチャンドラX線センターの天文学者ピーター・エドモンズ(Peter Edmonds)氏は、今回の研究を受けて次のようにコメントする。「食べ放題の“岩石バイキング”の元になる小惑星は、近くの恒星から奪われた可能性がある。おそらく、付近の恒星系から引き離され、ブラックホールを周回する小惑星群に引きずり込まれたのだろう」。
研究チームによると、直径10キロ以上の小惑星がのみ込まれた時に、地球から観測できるフレアが発生するという。小惑星群には数兆個の天体が含まれるので、中にはごく小さな小惑星もあるだろう。地球から見えない薄暗いフレアが生まれていると考えられる。
「超大質量ブラックホールの“岩石バイキング”は、いまに始まったわけではない。ずっと昔からフレアが放出され続けてきたと考える方が論理的だ」とエドモンズ氏は述べる。
また、付近に「光エコー」が存在する事実も、この説を支持する有力な証拠になるという。ブラックホールが惑星レベルの大きな天体をのみ込んだときなどは、非常に明るいフレアが発生する。このようなフレアが生み出した放射は、局所的なガスやちりの固まりに反射して何百年にもわたり輝きを残すことがある。つまり、光エコーの存在は、過去にフレアが発生した可能性を示している。
「いて座A*が食欲を抑えるような兆候は一切ない。いまも活発にフレアを吐き続けている」。
今回の研究成果は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌オンライン版に2月9日付けで掲載されている。
地球から2万6000光年離れた銀河系の中心「いて座A*(いてざエースター)」付近には、超大質量ブラックホールが存在する。周囲には、超高温のガスが渦を巻いた「降着円盤」が形成されており、そこに物質がのみ込まれると電磁波が放出される。
1999年に打ち上げられたNASAのチャンドラX線観測衛星によると、ブラックホールの周囲で明るいX線フレアが発生していることも判明。地上からも、チリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTで赤外線観測されている。
フレアは毎日のように発生しており、最大で1時間ほど続く。通常のブラックホールが放つ強さと比べて100倍にまで達することもある。
研究チームのリーダーでイギリスにあるレスター大学の天文学者カスティーティス・ズボヴァス(Kastytis Zubovas)氏は、「このフレアは、小惑星がブラックホールの降着円盤に引き込まれるときの“断末魔の叫び”だと考えられる」と話す。
研究チームはチャンドラのデータを基にコンピューターモデルを構築。降着円盤の端から少なくとも1億6000万キロの場所で、数兆個の小惑星が群れをなし、いて座A*を周回している可能性が明らかになった。
ブラックホールの重力によって小惑星の軌道に摂動が起きると、その小惑星はブラックホールに向かって落ちていき、潮汐力(ちょうせきりょく)でバラバラに引き裂かれる。残骸の岩石は降着円盤内部の高温ガスに出会い、ちょうど地球の大気中で崩壊していく流星と同じように気化していく。この現象が発生するとき、地上からでも明るい放射線のフレアが観測できるというわけだ。
◆食欲の衰えないブラックホール
アメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるチャンドラX線センターの天文学者ピーター・エドモンズ(Peter Edmonds)氏は、今回の研究を受けて次のようにコメントする。「食べ放題の“岩石バイキング”の元になる小惑星は、近くの恒星から奪われた可能性がある。おそらく、付近の恒星系から引き離され、ブラックホールを周回する小惑星群に引きずり込まれたのだろう」。
研究チームによると、直径10キロ以上の小惑星がのみ込まれた時に、地球から観測できるフレアが発生するという。小惑星群には数兆個の天体が含まれるので、中にはごく小さな小惑星もあるだろう。地球から見えない薄暗いフレアが生まれていると考えられる。
「超大質量ブラックホールの“岩石バイキング”は、いまに始まったわけではない。ずっと昔からフレアが放出され続けてきたと考える方が論理的だ」とエドモンズ氏は述べる。
また、付近に「光エコー」が存在する事実も、この説を支持する有力な証拠になるという。ブラックホールが惑星レベルの大きな天体をのみ込んだときなどは、非常に明るいフレアが発生する。このようなフレアが生み出した放射は、局所的なガスやちりの固まりに反射して何百年にもわたり輝きを残すことがある。つまり、光エコーの存在は、過去にフレアが発生した可能性を示している。
「いて座A*が食欲を抑えるような兆候は一切ない。いまも活発にフレアを吐き続けている」。
今回の研究成果は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌オンライン版に2月9日付けで掲載されている。
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